最高裁判所第二小法廷 昭和45年(あ)576号 決定 1970年7月10日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人山中唯二の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、上告適法の理由にあたらない。なお、被告人が、昭和四三年三月二八日に景松園において賭博をしたとの勾留状記載の事実と、同日同所において今泉らがした賭博開帳図利を、賭具を貸与して幇助したとの起訴状記載の事実とは、併合罪の関係にあるものであるから、事件の同一性を欠くものと解すべきである。したがって、これを同一性があるとした原判断は、法令の解釈適用を誤ったものというべきである。しかし、右法令違反は、所論被告人の供述の任意性の判断に影響を及ぼすものではなく、また、右供述の任意性ないし信用性を疑うべき証跡は記録上存在しない。
また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)